曹洞宗の宗旨・教義
宗旨
曹洞宗は、お釈迦さまより歴代の祖師によって相続されてきた「正伝(しょうでん)の仏法」を依りどころとする宗派です。
それは坐禅の教えを依りどころにしており、坐禅の実践によって得る身と心のやすらぎが、そのまま「仏の姿」であると自覚することにあります。
そして坐禅の精神による行住坐臥(ぎょうじゅざが)の生活に安住し、おたがいに安らかでおだやかな日々を送ることに、人間として生まれてきたこの世に価値を見出していこうというのです。
教義
私たちが人間として生を得るということは、仏さまと同じ心、「仏心(ぶっしん)」を与えられてこの世に生まれたと、高祖道元禅師(こうそどうげんぜんじ)さまはおっしやっておられます。
しかし、その尊さに気づかずに我がまま勝手の生活をして苦しみや悩みのもとをつくっています。
そこで私たちは、お釈迦さま、高祖道元禅師さま、太祖瑩山禅師(たいそけいざんぜんじ)さまのみ教えを信じ、その教えに導かれて、まごころに生きる実践を深め、人間の本当の姿(仏)に目覚めなければなりません。
人間の本当の姿に目覚めれば、仏の先に照らされ、仏の広い慈悲に抱かれている私たちの「仏の姿」が明らかになるでしょう。
心のやすらぎにいたれば、自己が省みられ、生活が調えられていくでしょう。
そして、他人に対しての優しさや思いやりも生まれるでしょう。互いに生きる喜びを見出して生きてゆけることが、曹洞宗の大切な信仰と言えましょう。
両祖さま 道元禅師さま・瑩山禅師さま
曹洞宗は、今から八百年ほど前の鎌倉時代に、
道元禅師さまが日本に教えを伝え広めてその基盤を確立されました。
道元禅師さま(図の右)がお亡くなりになってから五十年、
瑩山禅師さま(図の左)が多くのお弟子とともに一層盛んになさいました。
このお二方を、両祖さまと申し上げます。
両大本山 永平寺・總持寺
曹洞宗には、両大本山といって大本山が二つあります。一つは永平寺(福井県吉田郡永平寺町)であり、一つは總持寺(横浜市鶴見区鶴見)であります。
両大本山は曹洞宗寺院の根本であり、信仰のみなもとであります。
大本山永平寺は。寛元2年(1244年)、道元禅師さまが45歳の時、土地の領主波多野義重(はたのよししげ)公の願いによって、福井県に傘松峰大仏寺(さんしょうほうだいぶつじ)を開かれ、2年後に吉祥山(きちじょうざん)永平寺と改められたことに始まります。
大本山總持寺は、元亨元年(1321年)、瑩山禅師さまが54歳の時、石川県諸嶽寺(もろおかでら)の定賢律師(じょうけんりっし)の願いによりその寺に入られ、諸嶽山總持寺(しょがくざんそうじじ)と改められたことに始まります。
明治31年(1898年)に七堂伽藍(しちどうがらん)の焼失を機会に、明治40年(1907年)に横浜市鶴見区へ移転し、現在に見るような明るく広い趣をつくりました。
なお、旧地は、總持寺祖院として再建され、地域の信仰を集めて今日にいたっています。